■せっかく遺言してみたものの
最近、各種メディで相続について扱ったものを目にする機会が増えているように思います。関連書籍もたくさん出ており、今まではタブー視されてきた死んだ後のことを話たり、考えることへのハードルが下がってきたように思います。相続への関心が高まり、遺言をする方もずいぶん増えてきたように思います。(まだまだ少ないようですが)しかし、せっかくの遺言も、当人が死亡した後に、必ずしも希望通りに実現(執行)するとは限りません。今回は、遺言が少しでも本人の思い通りに執行されるにはどうしたらいいのか考えたいと思います。
遺言の方式
当ホームページの遺言について記載されていますが、遺言にはいくつかの方式が存在します。その方式に従った遺言がなされないと無効になる可能性があります。
遺言能力
民法第963条において、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有していなければならない」とされています。遺言を検討される方で、ご高齢の方や、ご病気で死期が迫っている方の場合は相続開始後に、遺言時点で、認知症などでその能力があったのか争われる可能性があります。認知症だからといって遺言する能力がない訳ではありませんが、後に争われる可能性があるのであれば、医者の診断書を取得したり、遺言を公正証書遺言にするなどして、争い(無効)になるリスクを下げることを考える必要があります。
遺言の撤回、複数の遺言
これらについても民法第1022条以下で規定されていますので、注意する必要があります。
遺言の内容
遺言する内容については、基本的にはどのようなことであっても記載することができますが、遺言によって効力を生じる事項については、民法やその他の法律で定められています。代表的なものは誰に財産を与えるかといった相続分の指定や遺贈についてでしょう。また、当然、遺言の内容は公序良俗に反しないものである必要があり、解釈が分かれないように明瞭な遺言書の作成の必要もあります
遺言執行者
適正な遺言がなされても、遺言の内容に沿って確実に実行されなければ意味がありません。これらを行うのが遺言執行者です。遺言の際に必ず決めなければならないものではありませんし、あとから利害関係人の請求により遺言執行者を選任することも可能です。また、相続人の一人を執行者に指定することも可能です。しかし、少しでも確実な執行を希望するのであれば、事前に遺言の段階で、利害関係のない者、司法書士や弁護士といった専門家を指定しておくほうが良いと思われます。
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