大阪府吹田市の上野司法書士事務所(江坂相続遺言手続きセンター)です。
以前、相続税と生命保険についての記事で保険料の贈与を使っての相続税対策をご紹介いたしましたが、今回は他の方法考え方による生命保険を利用した節税するお話しです。
生命保険を使った非課税枠の利用
まずこれはご本人様が契約者として自分自身に保険をかけて自分自身で保険料を払っている場合です
契約関係は
保険契約者⇒本人
被保険者⇒本人
保険金受取人⇒子供などの相続人です
となります。
相続人が受け取る保険金についてはいったん税法上は相続財産として扱われて(みなし相続財産といいます)相続税の対象となってしまいます。ただし相続人が受け取る保険金についての優遇措置があります。それは500万円×法定相続人の人数については税金がかからないというものです。
具体的には
夫が、自分が死亡したときのために1500万円の死亡保険金がでる生命保険に入っていたとします。
この場合に妻と子供2名いる場合、先ほどの計算式にあてはめると
500万円×3の1500万円 で死亡保険金と同じ金額になりますので相続税はかからないということになります。
その他の生命保険の考え方
生命保険は一般的には支払った金額よりも死亡したときに受け取る金額が多くなければメリットはないともいえます。そのため当初の契約時にはいくら支払っていくらもらえるのかというのは考えなければいけません。
しかし支払った保険料よりも受け取る金額のほうが同額もしくは少なかったとしても、生命保険の非課税枠を使うことで、そのまま何もしなければ相続税で目減りしてしまう現金を多く残せることができるケースがあります。
そのため持病があったり高齢であったりしてなかなか資産運用を主たる目的とするといい保険がないとお考えの方もいらっしゃるとは思いますが、違う視点で相続対策という見方をすれば結果的には得になるようなこともあるかもしれません。
例えば
①1500万円の現金を残していて相続税が20%かかるような場合は相続税は300万円となります。
②これを1500万円保険料を支払い保険で使って1480万円保険金がでるとします。
法定相続人が3人いれば非課税枠の範囲内で相続税はかかりません。
②のケースでは戻ってくる現金は1480万円と20万円減っていますが、①のケースのように相続税がかかる場合だと保険に入るほうが結果的に多く財産を相続人に残すことができることになります
まとめ
メリット
①非課税枠がある
これは今回ご紹介した500万円×法定相続人の数で計算した非課税枠を使い相続税を
かからないもしくは安くすることです
②遺産分割が不要
③葬儀費用等に必要な現金をすばやく用意できる
現金や不動産などの場合はすぐに分割、すぐに現金化することはできず、争いの元となる可能性がありまます。それに対して死亡保険金は受取人固有の財産であるため遺産分割協議の対象外になります。それにプラスして生命保険の死亡保険金は諸手続きをすませると通常1週間程度で受け取ることができるといわれており急に現金がると焦るような事態を防ぐことができます。
その他のポイント
①受取人を配偶者にしないほうが有利になる
配偶者は以前記事でも紹介しましたが、税額軽減の規定があり法定相続分
(又は1億6000万円まで)最初から相続税が課税されません。
そのため今回の非課税を利用した生命保険金は配偶者以外の相続人に指定したほうが有効といえます。
②受取人を相続人以外の人にしないように気を付ける
今回ご紹介いたしました生命保険を使った相続税の非課税規定は、相続人が受け取った
生命保険金に限られたお話ですので、相続人にはならない孫等を受取人指定されますと
と生命保険金の節税はつかえません。